KKRC
『土木的構成原理で建築をつくる』
建築が敷地境界線内での出来事であるのに対して、ダム・防波堤・道路など土木の本質とは敷地境界線をつくることにある。
今回の計画では優れた眺望を生かすと共に鹿児島市の貴重な財産である武岡景観緑地の一部であることに配慮する必要があった。
計画地は市街地に近接し、鹿児島中央駅や高速道路(鹿児島空港)にも近く交通の便にすぐれる。隣地には武岡公園や長島美術館があることから、時間とお金を持つアクティブエルダーをメーンターゲットとしたリタイアメントコミュニティを事業スキームとした。
事業採算上必要な119戸のボリューム、約1万㎡をいかに配置するかが課題となった。敷地境界線に沿って3層の建築物を配置することが、高さ制限のあるこの敷地においてもっとも効率的かつ景観に配慮した建築的回答となった。
敷地を縁取る建物は景観としての新たな地形を形成し、内側に大きな中庭を生み出す境界線となる。土木的構成原理により建築を境界化することで、相互の異なる領域による多様な風景の展開やダイナミックなスケール感、連続する景観性を獲得することを目指している。